信州安曇野牛乳 生産者紹介5 古幡牧場

酪農に適した土地柄

1
1

古幡さん一家が、穂高の山あいに位置するここに引っ越してきたのは昭和56年。「この周辺はかつて満州の開拓村で、共同搾乳所があったそうです。夏は暑くても夜は過ごしやすく、酪農をするのにも適した場所。近所の人たちの理解もあり、時には、おいしいと評判の地元産の長いもや大根を頂いたりします」という古幡さん。農協の技術指導員であった父が共同ではじめた酪農を、ここで64頭の規模にまで拡大した。
乳牛たちはみな元気に過ごし、あまり病気をしないというが、その秘訣は酪農に適した穂高の土地柄とともに、自給飼料を中心として、できるだけ旬のえさを食べさせるという心配りにあった。「自給飼料は、タワーサイロに蓄えて発酵させたとうもろこしを中心に与えます。春は青刈り麦、夏から秋は牧草、秋の稲刈りが終われば乳酸発酵した藁(わら)を与え、不足しがちな繊維を補います。牛の状態と乳成分が一年を通して安定するように、獣医さんのアドバイスを仰ぎながら、健康管理に心を配っています」。

モンキードッグ・ジョンコの活躍

1

牛舎の裏が山に隣接している古幡牧場周辺では、たびたび野生のサルによって畑を荒らされるなどの被害があった。乳牛のえさになるとうもろこしがよく狙われる。そこで古幡さんは、飼い犬のジョンコにサルを追いかける訓練を受けさせ、モンキードッグの資格をとったと言う。今では、近所の人気ものだというモンキードッグのジョンコ。ふだんはゴロゴロしているそうだが、有事になると闘争心をむき出しにして、サル達を追いまくるそうだ。ときには熊も出没するというこの土地で、なくてはならない存在なのだ。

お互いの顔が見える牛乳作りを目指して

1

「今まで酪農家は、生乳を搾っているだけでよかった。でもこれからは違うでしょうね」と言う古幡さん。自分の牛乳が誰に飲まれて、どんな評価をされているのかを、昔は知ることができなかった。自分の牛乳を飲んだ消費者の喜びの声を聞くことが可能になりはじめた現在、仕事への意欲ややりがいも増していると言う。
「これからは酪農家として、牛乳のことをたくさんの人々に知ってもらうために、自然や動物とふれあう機会も提供し、牛乳以外でも消費者の皆さんに何かを還元していきたいです。ぜひ牧場に遊びに来てください」。安曇野牛乳にのせた古幡さんの夢は大きく広がっている。