信州安曇野牛乳 生産者紹介6 甕(もたい)牧場

乳牛2頭からはじめて46年

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46年前に、2頭の乳牛から酪農をはじめたという甕さん。松林を開墾し、区画整理された畜産団地であるこの場所に牛舎をつくり、29年前からはりんご畑も兼業している農家だ。「昔、農協に勤めていた関係でメイトーさんと縁がありました。酪農をはじめた頃は、梓川の水で牛乳を冷やし、自分で集乳所に運んでいました。メイトーさんでは当時から、獣医師さんが専任で、今と同じように深く酪農に関わってくれていたので楽でしたね。何かあったときにいつでも来てくれるのは、本当に心強い」と陸巳さん。自分たちの牛乳をつくることは、酪農家みんなの積年の願い。息子である隆行さんも、おいしい信州安曇野牛乳が牛乳離れを食い止め、消費を伸ばすきっかけになればと、その意気込みを語ってくれた。

適度な運動と良質の飼料が長生きの秘訣

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甕牧場の牛たちは、長生きして、出産回数も多いともっぱらの評判だ。その理由のひとつは、お産前の運動にある。分娩予定の2か月前から、足腰を鍛えるために、牛舎に併設する運動場に放牧しているのだ。自由に動きまわれる環境は、ストレス解消にもなるのか、体調がすこぶるよい。こうしたことが、お産のときの事故を減らすことにつながっているのではないかと言う。
 また、長生きの秘訣は、良質の自給飼料を与えていることと、無理して搾乳しない方針にもあると言える。粗飼料(※1)は自分で作っている牧草のみ。5月、8月、10月の年3回収穫する。収穫後は乾燥させ、かびが発生しないように管理しながら、できるだけ年間を通して、自給飼料を与えるようにしているそうだ。そして、獣医師のアドバイスも受けながら、無理して搾乳しない方針を貫いている。「こうした努力が牛の健康につながり、おいしい牛乳という結果になって表れる。またそれは、牛群検定(※2)などの結果として出るのもうれしい」と、隆行さんは胸を張ってそう語った。

※1 粗飼料…乳牛の胃にやさしい牧草や藁(わら)、乾草などの飼料のこと。
※2 牛群検定…乳牛それぞれの牛群(乳牛の乳量や成分、体細胞などの個体データ)を調べて集計・分析し、能力をチェックするための検定。